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リパーゼ

リパーゼ(脂質分解酵素)とは?

リパーゼは脂質を分解する酵素です。膵臓で作り出され十二指腸に分泌されるリパーゼは、食事から摂取した中性脂肪を脂肪酸とグリセリンなどに分解して消化を助けます。

脂質がリパーゼ(脂質分解酵素)に分解される仕組み

脂質はそのままではリパーゼの効果を受けにくいため、十二指腸で胆汁によってリパーゼが分解しやすい形に変化(乳化)します。乳化された脂質はモノグリセリドや脂肪酸、グリセロールに分解され、小腸上皮細胞や腸管から吸収され全身に運ばれます。

また、コレステロールの分解・吸収は中性脂肪とは少し異なり、胆汁だけでは乳化しにくく分解しにくいのが特徴です。そのため、中性脂肪の分解でできたモノグリセリドの力を借りて吸収しやすい形に分解され、腸管から吸収されるというメカニズムとなっています。

メタボとリパーゼ(脂質分解酵素)の相性は?

メタボ気味の方に多い食傾向として、エネルギーの摂り過ぎがあります。特に脂質は1gあたり9kcalで、炭水化物やたんぱく質よりも高カロリーなので注意が必要です。メタボの予防には脂質を控えた食事にすることが大切ですが、摂取した脂質を分解するのに十分な量のリパーゼを摂取するよう意識することも必要といえます。

食事から摂取した脂質は分解・吸収されて健康な体の維持に役立ちますが、使われずに残ってしまったものは、高脂血症や動脈硬化などの原因に。症状が現れにくいので軽視しがちですが、命にかかわる場合もあるので、メタボ気味かなと感じている方は脂質控えめの食事に加え、リパーゼを意識的に摂取するとよいでしょう。

リパーゼ(脂質分解酵素)を多く含む食べ物は?

リパーゼを多く含む代表的な食べ物としては、納豆・味噌・麹・チーズ・アボカド・大根・にんじん・ほうれん草・トマト・セロリ・イチゴ・オレンジ・スイカ・グレープフルーツなどが挙げられます。

身近な発酵食品や野菜、果物に多く含まれているので、少し意識すれば毎日の食事に取り入れることも難しくありません。

ただし野菜や果物に含まれるリパーゼは鮮度が落ちてしまうと同時に減少してしまうため、野菜や果物から摂取する場合にはなるべく新鮮なものを利用するようにしましょう。

リパーゼ(脂質分解酵素)の弱点は「加熱調理」

リパーゼはほかの酵素と同じく、熱に弱い性質をもっています。これは、リパーゼがたんぱく質でできているのが理由です。たんぱく質は熱を加えると熱変性をおこして形が変わってしまいます。リパーゼが熱変性してしまうと酵素のはたらきが失われ機能しなくなってしまうのです。

多くの酵素は、体温程度の温度帯で活性化しやすく、60℃前後から徐々に熱変性を起こし、失活してしまうとされています。酵素を活かしつつ加熱したいという場合には、極力低温での調理がおすすめです。

リパーゼ(脂質分解酵素)を効率よく補う方法

熱に弱い性質をもつリパーゼをムダなく効率よく摂取する方法としては、生食や非加熱調理がおすすめです。また、すりおろしたり刻んだりすると細胞壁が壊れて酵素が活性化しやすいほか、消化しやすくなるので、切り方にも工夫するとよいでしょう。

しかし、忙しくて調理する時間がない、なるべく手軽に酵素を摂りたいという方は、酵素サプリメントを利用してみるのも1つの方法です。ドラッグストアやオンラインストアでは様々なタイプの酵素系サプリメントや健康食品が販売されています。熱に弱いという酵素の性質を考えると非加熱処理で作られている商品のほうがより効率的にリパーゼを摂取できるかと思われますので、選ぶ際に参考にしてみてください。

リパーゼは一度にたくさん摂取して貯めておくということはできません。毎日適量を続けることが大切です。無理のない方法でリパーゼを摂取して、健康な体づくりにつなげていきましょう。