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コレステロール値と酵素の関係性とは?

健康診断で「コレステロール値」が引っ掛かってしまった方へ。コレステロール値が高くなる(または低くなる)メカニズムやコレステロール値と酵素の関係性をわかりやすく解説しているので参考にしてみてください。

コレステロールとは?

コレステロールと聞くと「肥満」「太り過ぎ」など、あまり良いイメージをもたない方も多いでしょう。しかしコレステロールは私たちの体を維持するのに欠かせない脂質の一種です。

体内には4種類の脂質(中性脂肪、コレステロール、リン脂質、遊離脂肪酸)が存在し、それぞれ異なる役割を持っています。

コレステロールは人間の細胞膜をつくっているほか、ホルモンや胆汁酸の原料として私たちの健康を支えています。

人間の身体に必要な1日あたりのコレステロール量は1,000mg~1,500mgです。3分の2は体内で生成され、3分の1を食事から摂取する必要があると言われています。

肝臓でつくられたコレステロールは、血液の流れに乗って血管から全身へと運ばれ、使用されなかったコレステロールは血液の流れに乗って再び肝臓へと戻ります。

善玉コレステロールと悪玉コレステロールの違い

コレステロールに2つの種類があるわけではありません。また、一方が「善」一方が「悪」というわけでもありません。

コレステロールは脂質の一種で血液に溶けにくいため、「リポタンパク質」という粒子と結合して血液に溶け込み、全身に運ばれていきます。

リポタンパク質は比重が大きいものと小さいものがあり、大きいほうを「HDL(高比重リポタンパク)」、小さいほうを「LDL(低比重リポタンパク)」と言います。

HDLと結合したコレステロールは「善玉コレステロール」、LDLと結合したコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれ、役割が変わってくるのです。

悪玉コレステロール

LDL(比重の小さいリポタンパク質)と結合した悪玉コレステロールは、全身にコレステロールを運んでくれる大切な脂質ですが、その過程で使用しなかったコレステロールを血管の壁や末梢組織に置いてきてしまう性質があります。

そのため、悪玉コレステロールが増えると血管の壁や抹消組織にコレステロールが溜まり、血流が悪くなったり血管が詰まりやすくなったりしてしまうのです。

善玉コレステロール

HDL(比重の大きいリポタンパク質)と結合した「善玉コレステロール」は、全身にコレステロールを運びつつ、その過程で血管の壁や抹消組織に溜まったコレステロールを回収して肝臓に戻す役目を担っています。

コレステロール値が低いとどうなる?

コレステロール値が低い場合、栄養障害や肝硬変、バセドー病や低脂血症になる可能性があります。

悪玉コレステロールが低すぎる場合

東京都老人総合研究所が秋田県N村の65歳以上504人を対象に4年間かけて行った研究によれば、悪玉コレステロール値が低い人はうつ状態になりやすいとのこと。

血中のコレステロール濃度が下がると神経伝達物質であるセロトニンの分泌量が減ること。血中のコレステロールが減ると細胞膜にあるセロトニン受容体の機能が弱まり、セロトニンのはたらきが低下することなどから、うつ状態や自殺が増えるのではないかと推測されています。

参考:
公益財団法人 日本食肉消費総合センター(http://www.jmi.or.jp/qanda/bunrui3/q_050.html)

善玉コレステロールが低すぎる場合

善玉コレステロール値が低すぎる方(40mg/dl未満)は脂質異常症です。悪玉コレステロールが血管や抹消組織に放置したコレステロールを回収できないため、動脈硬化が起こるおそれもあります。

コレステロール値が高いとどうなる?

悪玉コレステロール値が高すぎる方(140mg/dl以上)は脂質異常症です。脂質異常症になると、以下の病気のリスクが高まります。

動脈硬化

動脈硬化とは「老化現象を起こした血管が硬くなってしまった状態」のこと。血液中の悪玉コレステロールが増えると血管の壁にコレステロールが溜まるため、血液が流れにくくなって血管壁が硬くなりします。その結果、血圧の上昇や血管の破裂、血管の詰まりによる心不全などが起こる可能性があるため、注意が必要です。

脳梗塞

脳梗塞とは、脳の血管に血栓(血の固まり)が詰まることで脳に血液や酸素が行き渡らなくなり、脳の神経細胞が死んでしまう病気です。悪玉コレステロールが増えると血栓ができやすくなるため、脳梗塞の発症リスクが高まります。

心筋梗塞

心臓には、酸素と栄養を送る冠動脈といわれる血管があり、それが完全に塞がり血液が流れなくなった状態を心筋梗塞といいます。原理は脳梗塞と同じ。心臓が酸素不足になり、重症の場合は死にいたる病気です。

悪玉コレステロール値が上昇するメカニズム

私たちの体内にあるコレステロールのバランスは大方決まっています。例えば、肝臓で生成されるコレステロール量、小腸から吸収できるコレステロール量、体内で利用されるコレステロール量、体外に排泄される量など。健康体なら、女性ホルモンや甲状腺ホルモンによってコレステロールの量が調節され、適切なバランスが保たれるのです。

このような調節機能は、不規則な食生活やストレス、ホルモンバランスの変化などによって著しく低下してしまいます。また、脂質の多い食生活を続けるのもコレステロールのバランスを崩す原因です。

コレステロールのバランスが崩れると体内からLDL(低比重リポタンパク)の受容体が減り、LDL(低比重リポタンパク)と結合するコレステロールの量が増えるため、悪玉コレステロール値が上昇します。

悪玉コレステロール値が上昇すると、肝臓で作られる善玉コレステロールの量は減少。コレステロールのバランスは崩壊します。悪玉コレステロールを回収する善玉コレステロールが減ると、中性脂肪も増加して脂質異常症のリスクが高まるのです。

悪玉(LDL)コレステロール値の目安はこちらです。

  • 異常なし……60〜119mg/dl
  • 軽度異常……120〜139mg/dl
  • 要経過観察……140〜179mg/dl
  • 要医療……59以下/180mg/dl〜

悪玉コレステロール値が高い人の特徴

悪玉コレステロール値が高くなる背景には「食生活」「運動不足」「肥満」「遺伝」が挙げられます。とくに食生活は大きな要因。次の項目に当てはまる人は要注意です。

  • 喫煙
  • お酒をよく飲む
  • 加工食品や油物が好き
  • あまり噛まずに食べる
  • スナック菓子やデザートが好き

食生活を見直すなら「飽和脂肪酸」の摂りすぎに気を付けたいところ。飽和脂肪酸は、バターや生クリームなどの乳製品、肉の脂身などに多く含まれている脂質です。悪玉コレステロールが増える要因だと言われています。

脂質異常症(高コレステロール血症)対策として積極的に摂り入れたい酵素

リパーゼ

リパーゼは中性脂肪(トリアシルグリセロール)を分解する酵素です。リパーゼは、働く場所と働くタイミングによって2つの種類にわけられます。

リポタンパク質リパーゼ

リポタンパク質リパーゼは「血液中のリポタンパク質に含まれるトリアシルグリセロール」を分解する酵素です。分解されたトリアシルグリセロールは脂肪組織に取り込まれ、脂肪細胞内に中性脂肪として貯蔵されます。

ホルモン感受性リパーゼ

ホルモン感受性リパーゼは、脂肪細胞内に貯蔵されているトリアシルグリセロールを分解する酵素です。ホルモン感受性リパーゼに分解されたトリアシルグリセロールは脂肪酸になって血液中に放出されます。血液中でアルブミンというタンパク質と結合して全身に運ばれ、空腹時のエネルギー源として利用される仕組みです。

ホスホリパーゼ

ホスホリパーゼは、リン脂質を脂肪酸とそのほかの親油性物質に分解する酵素です。触媒する反応の種類により、A1・A2・B・C・Dの5種類に分類されます。

コレステロール値と酵素の関係性まとめ

コレステロールを分解してくれる体内酵素は加齢にともない減少すると言われています。脂質の多い食事を続けていると、体内酵素が必要以上に消費されてしまうため、コレステロールの代謝が滞り、高コレステロール血症になるおそれもあります。

そうならないためにも、バランスとの取れた食事と適度な運動を心がけつつ、体外から積極的に酵素を補っていきましょう。