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膀胱がんの主な原因は喫煙です。男性だと50%以上、女性だと約30%の膀胱がんは喫煙が原因で発生したとする試算もあります。また喫煙者と非喫煙者を比較した場合、喫煙者の方が2~5倍ほど膀胱がんになりやすいようです。そのため膀胱がんと喫煙は深い関係性があると言えるでしょう。
また染料に含有されている化学物質(芳香族アミン)が、膀胱がんの原因になりうるとされており、その染料に触れる機会の多い職業の方は膀胱がんのリスクが高まると言われています。しかし現在この化学物質の製造と使用が禁止となっていますが、他の化学物質に触れる機会が多い職業においても膀胱がんを発症するリスクがあるでしょう。
その他の要因として、一部の精神安定剤や解熱鎮痛薬、抗がん剤などの薬物の服用や、放射線治療によって膀胱の被ばくなども膀胱がんを引き起こす原因になると考えられています。
近年では、糖尿病治療と膀胱がんの発症との関連性があるという指摘もあるようです。
膀胱がんは通常の健康診断で確定することは難しいでしょう。血尿など少しでも疑わしい場合には、専門的な検査を受ける必要があります。
血尿を引き起こす病気には、膀胱がん以外にも腎臓がんをはじめ、腎盂・尿管がん、前立腺がんなどのがんがあります。そのため尿が膀胱に溜まっている状態で腎臓や膀胱などの臓器に超音波をあて臓器を詳細にチェックします。
糖分や蛋白だけでなく、赤血球や白血球などの成分も詳しくチェックし、いろいろな病気の可能性を調べます。
これは尿の細胞によって悪性細胞の有無をチェックする検査です。この検査の結果は、一般的に5段階で出されます。
ただし、この結果で陰性と判断されたとしても膀胱がんの可能性がゼロという訳ではありません。他の検査結果も考慮しながら総合的に判断します。
膀胱鏡を尿道口に挿入し行う検査で、膀胱内や尿道を視覚的に観察することで炎症や腫瘍の有無をチェックします。画像診断では発見が難しい病変であっても視覚的に確認できるため重要な検査です。また膀胱鏡で膀胱の組織を採取し、病理検査を行うこともあります。
膀胱がんと診断された場合、転移の有無や腎盂・尿管などの部位に腫瘍がないか否かを調べるための検査です。
膀胱がんと診断された場合で、かつがんの浸潤が疑われるときにはMRI検査も実施します。MRI検査は術前や手術時に膀胱がんの状態を調べる方法として有効です。
手術(外科療法) がんの病巣を直接除去する治療で、原発巣をはじめ他の部位に転移したがんも除去することができます。がん治療の中で最も基本的な方法です。 がんの悪性度が低く、がんの数が少ない場合に選択されるのが「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)」です。
この治療法であれば膀胱を温存することができます。また進展するスピードが早いなどの場合に選択されるのが「膀胱全摘(膀胱全摘出)術」です。この方法は膀胱を摘出し、精嚢や子宮や膣の一部、尿道も摘出するケースもあります。また膀胱を全摘出しているため「回腸導管造設術」や「尿管皮膚瘻増設術」を実施。専門のストーマを装着する方法です。
「自排尿型新膀胱造設術」と呼ばれるストーマではなく、新膀胱を尿道に直接つなぐ手術もあります。 抗がん剤(化学療法) 抗がん剤を活用することで、がんの増殖を抑制し破壊する方法です。
全身のがん細胞に効果が期待できるでしょう。 ほかにも放射線療法、免疫療法、BCG注入療法、化学療法、放射線治療などの治療法があり、がんの状態や希望などに応じて複数の治療を選択し実施します。
膀胱がんを予防するために最も重要なポイントが禁煙です。喫煙と膀胱がんは密に関係していると言われており、禁煙は有効な手段と言えるでしょう。しかし自分の意志だけで、急にタバコをやめることが難しいケースもあります。そういった場合には禁煙外来などを利用する手もあり、無理なくタバコを止めることができるでしょう。
またカフェインの過剰摂取も膀胱がんと深かかわりがあるとされています。そのためコーヒーなどカフェインを含む飲み物を摂り過ぎないようにしてください。適量に留めるようにしましょう。
もちろん、こういった生活へ見直ししても100%予防できるという訳ではありません。そのため早期発見のためにも定期的に医療機関で検診を受けることが大切です。早期にがんを見つけるようにしましょう。
膀胱がんは他のがんに比較すると、比較的早期に症状が出ると言われています。
上記のような症状が主な初期症状です。これらの症状が少しでも現れた場合には、すぐに医療機関で検査を受けるようにしましょう。とくに血尿は最も多い症状で、痛みを伴わない点が特徴的です。排尿の最後の方に血液が混ざる終末時血尿のケースが多く、血の塊がでることもあります。血尿は必ずしも視覚的にわかるようなケースばかりではなく、顕微鏡検査ではじめて判断できるときもあります。
症状が進行すると、背部痛を感じるケースもあるようです。これは膀胱がんが拡大することで、尿管口をふさいでしまいます。その結果、尿の流れが滞り、尿管や腎盂が拡張する水腎症という症状を引き起こしてしまうでしょう。背中の鈍痛は水腎症の症状であり、尿路結石でも同じような痛みを感じることがあります。
体内で生成される活性酸素は、細菌から身体を保護する働きをもつ一方、過剰に増えると炎症を招き、老化を早め、がんの進行にも影響を与えます。過剰に増えた活性酸素は「還元酵素」によって分解されるため、私たちは健康でいられます。還元酵素は体内の用心棒的存在なのです。
ところが、すべての還元酵素が良い働きをするわけではありませんです。たとえば「アルドケト還元酵素」は、膀胱がんなどの細胞の動きを高め、またがんに対する抵抗力を弱らせる働きがあることが分かっています。実際、アルドケト還元酵素の働きを阻害する「フルフェナム酸」を含むかぜ薬は、膀胱がんの治療において注目されています。
仮にがん細胞が発生しても、体内の「がん免疫細胞」が増殖を抑えてくれるため、通常の免疫状態であればほとんどの場合膀胱がんにはなりません。しかし冷えなどにより代謝が落ちるとがん免疫細胞がうまく機能せず、がんの増殖の勢いに負けてしまうことがあります。また代謝が低下すればエネルギーが落ち、がんに対する抵抗力も落ちてしまうため、注意が必要です。
食べ物の中にはがんに対して一定の効果を期待できるものがあります。たとえば、野菜や果物に含まれるカロテン、ビタミン、葉酸などの栄養素です。発がん物質解毒酵素を活性化したり、活性酸素を無毒化する働きを持つと考えられいています。
まだ研究段階ですが、セロリなどの「非でんぷん野菜」は口腔・咽頭・喉頭のがん発生リスクを低下させ、果物は口腔・咽頭・喉頭・肺におけるがんのリスクを下げる可能性が大きいことが分かってきています。国際がん研究機関のワーキンググループも「がんを含む病気の予防の観点から、野菜・果物を多くと摂ることは推奨される」と発表していることから、野菜や果物を積極的に摂取することは、がん予防において一定程度の意味を成すといえるでしょう。