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尿酸値と酵素の関係性とは?

尿酸値は高くても低くてもいけません。健康であるための一般的な数値は、男性で3.8~7.5mg/dL、女性で2.4~5.8mg/dLといわれています。尿酸値を知ることはなぜ大切なのか、酵素との関係についてもみていきましょう。

尿酸とは?

尿酸とは、プリン体が体内で分解されてできる老廃物です。

私たちの体を作っている60兆個もの細胞のなかには「核酸」があります。新陳代謝を繰り返したり、エネルギーを使ったりすると、核酸はプリン体へ分解されます。プリン体は肝臓でさらに分解されて尿酸という老廃物になり、尿に混じって体外へ排泄される仕組みです。

プリン体はどんな食品にも含まれているため、毎日の食事からも体内へ取り入れられています。つまり私たちが生きている限り、尿酸は体内に存在し続けるということです。

体内にある尿酸のうち80%は体内の核酸からつくられ、20%は食べ物として取り込まれたプリン体からつくられます。そのプリン体を肝臓が分解して、生産・排泄を繰り返しながら一定の量を保つ仕組みです。

プリン体の働きは?

プリン体は、細胞の代謝・増殖に利用されています。体内では毎日約500mgのプリン体が生成されており、私たちの生命活動になくてはならない栄養素なのです。プリン体の過剰摂取により、利用されなかった一部のプリン体だけが老廃物(尿酸)となり体外へ排泄されます。

尿酸値が低いとどうなる?

尿酸値が正常値よりも低い症状を「低尿酸血症」といいます。尿酸値が低いこと以外にわかりやすい症状はなく、これまであまり問題視されていませんでした。

1950年に世界ではじめて報告され、日本では2010年頃から着目されはじめた、わりと最近の病気です。

尿酸値が2mg/dl以下の場合、「低尿酸血症」と診断されます。自覚症状はなく、治療法もありません。現時点では2つの合併症(「運動後急性腎障害」と「尿路結石症」)の併発頻度が高いことが分かっています。

尿酸値が高いとどうなる?

尿酸の代謝と排泄のバランスが崩れると尿酸値が高くなります。主な原因は飲み過ぎ(プリン体を多く含むアルコールの摂取)や食べ過ぎ。尿酸値が高くなった体は余分な尿酸を排泄しようとしますが、腎臓の機能が低下する人の場合スムーズに排泄されません。

排泄されなかった尿酸は血液へと流れます。尿酸値が7mg/dlに達すると「高尿酸血症」と診断されます。また尿酸値が高い方は、メタボリックシンドロームや動脈硬化が進んでいる可能性もあるため、早めの対策が必要です。

尿酸値が高い状態が続くと、痛風や高血圧、腎臓病や脳梗塞、心臓病のリスクが高まると言われています。

尿酸は基本的に代謝される

プリン体を摂取しても体内で分解されて尿酸になり、最終的に体外に排泄されるため、体内に溜まることはありません。1日に体内でつくられる尿酸の量はおよそ700mgで、1日の排泄量もおよそ700mgとされています。食事でプリン体を摂取する機会が多い方は、体内に一定量の尿酸が保たれている状態です。

健康な成人男性の場合、体内にはおよそ1,200mgの尿酸があり、生産・排泄を繰り返しながらバランスをとっています。もし、尿酸値に異常があらわれたなら、尿酸が過剰に生産されたり、排泄がうまくいかなかったりして、生産と排泄のバランスが崩れているサインかもしれません。

尿酸値が高い人の特徴・尿酸値が高くなる原因

尿酸値は、尿酸の生産と排泄のバランスが崩れると高くなります。尿酸の生産と排泄のバランスを崩す主な要因は以下です。

尿酸の生産を増加させる4つの要因

  1. 飲み過ぎ
  2. 早食い・大食い
  3. 激しい運動
  4. プリン体を多く含む食品の過剰摂取

尿酸の排泄を低下させる3つの要因

  1. アルコール
  2. 水分不足
  3. メタボリックシンドローム(肥満)

とくに食べすぎや飲み過ぎは、尿酸の生産・排泄の両方にダイレクトに影響するため、早めの対策が肝心です。プリン体を多く含む食べ物や飲み物を意識的に控えるところから始めましょう。

そのほか、遺伝やストレスも尿酸値に影響すると言われています。

また、運動は体にいい行為ですが、激しい運動の場合は注意が必要。激しい運動(無酸素運動)を続けると、血液中の酸素濃度が薄まり、尿酸値が上がるケースがあります。ゆっくり時間をかけて行うウォーキングやランニングなどの有酸素運動なら、尿酸値の上昇は軽めです。

プリン体の多い食品と少ない食品

プリン体の多い食品

食品100gに含まれるプリン体の量を調査しました。

プリン体が多い食品と言えばビールが有名ですが、ビール酵母には2,996mgものプリン体が含まれていることがわかりました。

お酒の肴として人気が高い白子やカニミソ、あんこうの肝の酒蒸しなどはプリン体多めです。

魚類でプリン体が多い食品はカツオやマイワシ。なかでも干物には多量のプリン体が含まれています。例を挙げると、煮干しに含まれるプリン体は746mg、かつお節は493mg、アジの干物は245mgです。貝類は、大正えびや車えびにプリン体が多く含まれています。

肉類でプリン体が多いのはレバー。鶏レバーだと312mg、豚レバーだと284mg、牛レバーだと220mgも含まれています。豆類でプリン体が多いのは乾燥大豆(173mg)です。

プリン体は水に溶ける性質のため、料理したときの煮汁や茹で汁を減らすことでプリン体をカットすることが可能です。

参考:公益財団法人 痛風・尿酸財団 食品中プリン体含量【PDF】

プリン体の少ない食品

穀類や卵、乳製品はプリン体が少ない食品です。野菜やきのこ、海藻類も少ないので、食事のメニューに積極的に取り入れましょう。体にいいとされる豆類は、乾燥大豆のみ高い数値でしたが、豆腐やそら豆、味噌、おからもプリン体は少なめです。

肉類にかんしても、レバーや心臓、腎臓を除くと数値はそれほど高くありません。なかでも豚ロースや牛タン、羊肉、ハム・ソーセージは100mg/100g以下になっています。

ただし、尿酸値を下げるためにプリン体の少ないものばかりを食べるのはNGです。何事もバランスが大切。プリン体は細胞の代謝・増殖などに利用される栄養素でもあるため、バランスをみながら取るように心がけましょう。

高い尿酸値は痛風を招く

痛風は別名「贅沢病」ともいわれており、血液に解けきらない尿酸が結晶化して関節に溜まることで起こります。関節に溜まった結晶化した尿酸は、運動や衝撃によって雪崩のように剥がれ落ち、それを敵の侵入だと勘違いした白血球が攻撃を開始するため、激しい痛みが生じる仕組み。

安静にすることで炎症はおさまり痛みも引きますが、結晶化した尿酸が関節に貯まっている限り、再び剥がれ落ちたときに再発してしまいます。

ちなみに痛風になる98%は男性です。また、1965年ごろは50代の割合が多かったのですが、日本の食文化の変化が影響して現代は30歳を過ぎた男性の通風患者が激増しています。

尿酸を分解するウリカーゼという酵素について

ウリカーゼとは、尿酸を分解する酵素です。「尿酸オキシダーゼ」あるいは「尿酸分解酵素」とも呼ばれています。

ウリカーゼは犬や猫など多くの動物がもっている酵素ですが、私たち人間の体内には存在しません。

たとえば、犬や猫は私たちと同じ哺乳類なのに、痛風にならないですよね。これは犬や猫の体内に尿酸をアントラインという物質へ分解する「ウリカーゼ」という酵素が存在するため。尿酸は水に溶けにくい性質がありますが、アラントインは水に溶けやすいため、体外への排泄がスムーズになるのです。

その性質を利用して、現在ウリカーゼは痛風の治療薬に用いられています。

尿酸値とアンセリンと酵素の関係性について

2006年に日本栄養・食糧学会で行われた動物試験とヒト試験の概要をご紹介します。

参考:焼津水産化学工業株式会社「新しい機能性素材アンセリン&その可能性について」

1.尿酸値降下作用に関するヒト試験

尿酸値が高い(血清尿酸値6.5ml~8.0ml/dl)成人男性31名を対象として行われた実験です。成人男性31名は2つのグループに分けられ、片方のグループにはアンセリン(動物の筋肉に含まれているペプチド)が含まれるカプセルを、もう片方のグループには偽薬を4週間摂取してもらい、その結果を比較しました。

アンセリンを摂取したグループ

  • 投与前の平均血清尿酸値:7.19µmol/dl
  • 投与4週間後の平均血清尿酸値:6.84µmol/dl
  • 投与をやめてから2週間後:6.78µmol/dl

偽薬を摂取したグループ

  • 投与前の平均血清尿酸値:7.11µmol/dl
  • 投与後の平均血清尿酸値:7.04µmol/dl
  • 投与をやめてから2週間後:7.22µmol/dl

偽薬を摂取するグループを用意したのは、何の効果もないカプセルを薬と思い込むことで、症状が改善されることがあるためです。偽薬を飲んだ成人男性グループの数値と明らかな差があったため、アンセリンには尿酸値を下げる効果があるとわかりました。

2.アンセリンと尿酸値降下薬との尿酸値降下作用比較試験(ラット)

アンセリン(動物の筋肉に含まれているペプチド)を投与することで、尿酸の産生を抑制するHPRT(ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ)という酵素と尿酸の排泄を促進する「LDH(乳酸脱水素酵素)という酵素の発現量が増える可能性が示唆された実験データです。

実験では高尿酸血症のラットを2つのグループに分け、片方のグループにアンセリンを、もう片方のグループにと尿酸値降下薬(アロプリノール)を与えて、7日後の血中尿酸値を測定しました。実験の結果は以下です。

  • 実験前のラットの平均血中尿酸値:11.9µmol/dl
  • 高尿酸血症と判断される基準値:9.0µmol/dl
  • アンセリンを与えたラットの平均血中尿酸値:9.9µmol/dl
  • 尿酸値降下薬を与えたラットの平均血中尿酸値:7.0µmol/dl

実験により、アンセリンには、高尿酸血症と判断される基準値近くまで尿酸値を下げる効果があることが分かりました。

また、同じ試験の中で尿酸の代謝に関係する遺伝子の解析を行ったところ、アンセリンを摂取することで尿酸の産生を抑制するHPRT(ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ)という酵素と尿酸の排泄を促進するLDH(乳酸脱水素酵素)という酵素の発現量が増えていることが示唆されたそうです。

酵素が尿酸値を下げるメカニズム

実験結果から、以下のメカニズムを利用することで尿酸値を下げられる可能性があることがわかりました。

尿酸の増加に歯止めをかける再利用酵素(HPRT)

再利用酵素(HPRT)を増やすことで、尿酸をプリン体に戻すことができるため、尿酸がつくられすぎるのを防げます。

尿酸の排泄を促進する酵素(LDH)

暴飲暴食や肉体疲労によって体内に乳酸が溜まると、腎臓の排 泄能力が低下して尿酸が排泄されにくくなります。

LDH(乳酸脱水素酵素)は乳酸を代謝する酵素。乳酸の代謝を促進することで腎臓機能の低下を防げるため、尿酸の排泄がスムーズになると考えられています。

尿酸値と酵素の関係性まとめ

プリン体を過剰摂取しない限り、または腎臓の排泄機能が低下していない限り尿酸値が異常値になることはまずないでしょう。

ただし、食生活や生活習慣の乱れから尿酸値が高くなってしまった人は食生活から見直す必要があります。

プリン体が多い食品の摂取をできるだけ減らし、お酒の飲み過ぎにも注意するところから始めてください。アンセリンを多く含む食品(マグロやサケの尾の部分、鶏の胸肉やささみなど)や酵素を含む食品を積極的に摂り入れるのも良いでしょう。

急激な運動は控えたほうがいいですが、ウォーキングなどの有酸素運動で体質の改善をし、ストレスを溜めない体づくりも大切です。

高尿酸血症や痛風になると、薬物治療や食事制限がはじまります。そうならないために、未来の自分の生活を守るためにも今できることから始めてみてください。